7月2日旅立ったと連絡が入る。
山島由香さんは自転車界の期待の星。
でも,私にとっては,山島ちゃんは山島ちゃん。
大学でコーチをしていた時の選手の一人。
山島ちゃんは,頭がよく,何事も一生懸命な選手だった。
故障すると,自転車や水泳など,その時,できることに
一生懸命取り組む。
上るのがやっとの急な坂道も,ママチャリで短時間で
上りきり,帰ってくる。
短時間で帰ってくるので,その後の補強する時間も
他の人より多い。
体はクタクタなはず。
それでも,弱音を吐かず,黙々と取り組む。
故障中の自転車や泳ぎの鍛え方をみていて,
みんながいない時,そっと山島ちゃんに近づいていき,
「卒業したら,トライアスロンに一回でいいから
出場してみて。日本代表目指して。」
ぼそぼそ...。真剣に伝える。
当時,彼女の一生懸命な姿を知っているマネージャーと私は,
レースで,なかなか力を発揮できていないのが悔しくて,
ただただ練習の成果をレースで発揮させたいと願っていた。
学生が一番の目標としている駅伝。
普段の練習通りに走らせてあげたいとの願いは最高潮。
彼女の区間の付き添いに闘志は燃えるが,態度は平静を装う。
いつもの練習通りに待つ。
彼女が次の区間へ襷をきちんと繋げた情報が入り,
「走れて良かったねー。」の後...
「付き添いの時,缶コーヒー持って,
山島ちゃんのアップを待ってたでしょ。
実は,缶開ける時の私の手,震えてた(笑)
でも,緊張させちゃいけないと思って,
冷静なフリしてたけどねっ!」
ようやくネタばらし。彼女の笑顔が忘れられない。
順位よりもタイムよりも精神面がひとまわり大きくなった姿,
嬉しかったなぁ。
『自転車のお店に就職決まりました。』
『まずは,自転車を始めてみました。』
『一般の部で,優勝しました。』
『会社で本格的にやらせてもらえるようになりました。』
『海外遠征行ってきます。』
トライアスロンを選ぶ余地なく,とんとんと...
自転車のみで,彼女は,みるみる強くなり,活き活き。
そんな彼女に,まずは,北京オリンピックおねだり。
『北京へ連れていってね。』
北京を逃しても,おねだりは未来へ。
『ロンドンへ連れていってね。』
自転車界のどんなレベルに上がろうとも,
山島ちゃんは山島ちゃん。いつも素直。
そして,一生懸命な努力は怠らない。
自転車界に詳しくなく,おねだりする私に,
『日本の強い選手に加え,選考会には,
海外にいっている選手も戻ってきます。
もっと頑張らないと...。頑張ります。』
冷静な意見で,心は前向き。
7月4日旅立ちを見送り,帰宅後,
『山島由香という人間がいたということを
どうぞ記憶の片隅にでも置いてやってください』
旦那さまの言葉が届く。
山島ちゃんは,まちがいなく,私の人生で出逢った
大切な人の中の一人。
FUNCOME Gangs!!を追っかけるための自転車...
彼女に選んでもらった贅沢品。